Seraphic Blueの表現したかったものと目指したもの


※ネタバレあり、あらすじ省略

 どれだけかかっただろう。一番古いデータに2005/8/19と記されている。それから、3年と2ヶ月。丁度今日も19日だったから丸それだけの時期になる。長い長い物語で、エンディングをのぞくプレイ時間は67時間にも達した。

 重くのしかかる、長い長い旅だった。時間の比もあるが、それ以上に突きつけられるものの重さのせいなのは、プレイした人にとってはさも当然だろう。もう一度やる気というのはなかなか起こらなくて、エンディングを見て彼らの行く末を案じ、かみしめるのみであった。

 どこから書き始めて良いかも分からないくらい、長かった。最初に純粋に面白がってプレイしていたことが懐かしい。多分、ここまでエゴイズムをむき出しにして、イデオロギーを武器に(それこそ現実の戦争のように)戦うRPGは他にどれほどあるだろう。イデオロギーという点においては世界系と絡めることによって、ある意味では拍子抜けともとられる。たったそれだけのために、世界が戦わなければならないことは、現実にはおそらくないだろうと思うので。

 まあだからこそ全てを終えたときには長い小説か、もしくは長い映画を見たような気分だった。一般的にRPGを全クリしたときに感じる達成感というよりは、終わったことへの安堵感と疲労感のほうが大きかった。伏線に次ぐ伏線、最終章に入ってからのどんでん返しの連続。もうほとんどのエピソードを伏線として消化しきっているような、まあ一部にはやや強引なところはあったものも、ここまで緻密に計算されているとは思わない。どんなゲームだよ、と。これがアマチュアなのかよ、と。
 
 アマチュアだからできた部分というのも数多くあって、一番は世界観。厭世に次ぐ厭世、残虐性、グロテスク。そうした言葉とは切っても切り離せないものがある。簡単に言えば、学校では教えてくれないしテレビには映せない。よい子は真似しちゃダメ、なあれをまざまざと見せつけられる。一部には反論の余地もあるが(厭世のイデオロギー的な部分に関しては特に)彼らの論を完全に崩すこともまたできない。

 一番のショックは「生まれくることは幸せではない」という考え方の存在が最後まで大きく幅をきかせることになる。ネタバレになるかもしれないのであまり詳しくは書けないが、そうした社会があることもまた事実なのであり、平和に過ごす分には目をそらしても構わないかもしれないが、そこにしがみつくしかない人々がいるのもまた事実。現実の世界においても、だ。ストーリーの後半はひたすらに生きる意味を問いかけられることになる。地に足の着いた存在であり、ある程度物語慣れしてないと最後まで続けることは困難なのではないかと思う。

 よって、このゲームは多分売れない。イデオロギーに対しての熱狂はあるだろう、俺のように冷静にこのゲームをプレイする人もいるだろうが、少数には違いないだろう。RPGの持つファンタジー性をはなから放棄していることが一番大きい。オープニングであの台詞を叩きつけられては、たまならないだろうし。ベクターのランキングでも上位だったようだが、それはフリーゲームという点が結局は大きいのではないか。ダウンロードは容易い。金を払ってプレーする心構えとは、また違うものがあると思う。特に本作の場合は。幸い、三部作のラストということで今までブルーシリーズを経験した人は積極的に仮にシェアウェアでも買うかもしれないが。あとは一般受けを狙ったコンシューマーよりもこういうゲームのほうが熱狂者が多い、というのもあるだろう。ある種のそういう棲み分けがあるからこそ生み出されたことに感謝したい。

 中毒性と熱狂性があるからこそ世に送り出された意味がある。それこそ桜庭一樹の小説のように、中毒性と乱用性を持つ物語だからこそ、放たれる言葉の持つ力は大きい。ミネルヴァというある国の王女を務めるキャラクターが存在するが、彼女の世間知らずで純粋な言葉はことごとくはねとばされていくのはそのせいもあるだろう。綺麗事は綺麗事。リアリズムには、ほど遠いと。逆に言えば理想論を語ることの少ないキャラクターの中でミネルヴァという存在、あとはヤンシーとドリスのような一般に近い感覚を持つ者がパーティーの中にいることはプレーヤーにとっても救いにもなる。目指すべきところはそこではないが、調和というのも必要なのだろう。マイナスな部分をあげつらいすぎてもプレーヤーが疲弊するだけだ。
 
 今回は全クリ直後の感想ということで非常にまとまりが悪い。どうしようもない。俺は結局はゲームが好きと言うよりは物語が好きなのだと改めて気づいた。ワイルドアームズ最新作に手が伸びるのはいつのことだろう。今のところディレクターズカットをやるつもりはないです。とりあえず、疲れた。


 written 2008/10/19

リンク
公式サイト「Blue Field」 

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