有限記憶


哀しい 色に なる




湿った空気 曇天模様の空


鼻につく 雨の匂い くるくる舞う 水玉傘


水たまり 飛び跳ねて


無邪気に笑った 朧気な 昔





長い髪を 一房 掴んで


そっと撫でた あなたの指 感触 


惨めなくらい 覚えたまま 残って





先の闇に 怯えなんて 知らなかった日々


戻れないこと 知ってる


今じゃ 何か一つ 踏み出す度に


暗闇に震え 動けなくて


昔よりずっと 脆くなった





あなたはいつか 忘れてしまうでしょう


あたしがいくら 忘れなくても


残骸すら 欠片すら 見えないものと化す でしょ?


意味のない 無駄な願いと 知りながら


また此処で





何かひとつ 触れる度


すべて あなたに繋がって 哀しい 色 に なるか ら ね





ほら 時間はもう 攫っていくよ



あなたの中の 想い出も あたしの 存在   も







不気味なくらい さっぱり と


Back