金木犀


雨の中 香り立つ 甘い 甘い




歩く 先の道は 暗く

僅かな明かり さえ 見つからず

肩に下げた 荷物は重く

ただ進む 場所へ着くよう





苔の緑で 覆われた 石垣

つんと 凛と 通り過ぎようと すれば

鼻につく あの匂い が

寂しい ひとりの道に

彩り を 加え






見上げれば 小さな 黄色

暗闇でも そこに はっきり存在

甘美な香り は 誰のため?

きっと 誰のためでも ないのでしょう





あいかわらず 雨は あたしを 吹き荒らす

揺れる こころ 零す 想いを

ぬくもり 遮ってきた 今まで を

「罪深い」と 風は 追い立てる






あの香りは あたたかい と

感じられる 心 は まだ 呼吸をし

色づく の です

あたしの 中で ちいさく 微かに 確かに






濡れた 黒髪伝い 流れる雫 は


酸性 の 強い 雨なのか






それとも 誰かへの






涙 なのか


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