夏待ち


見上げた空に心奪われる
無機質で、騒々しいこの街で
ひとつの救いを見た気がした

気づきもしなかったこの景色に
君はただ「綺麗だね」と言葉を添える
柔らかい口調というよりは
むしろあっけらかんとして
さも当然であるかのように
そう、ここが
君のいる街だと誇示するように

君は気づかせてくれる
空を見上げる余裕すらなかったこと
君が空を見上げる習慣を持っていたこと
それほどに君が
この街を好きでいること

この日常を好きになれたら
君をもっと好きになれるだろうか

この日々が、この関係が
少しは前進してくれればいいのだけれど

今は穏やかな気持ちのまま
君はもう飽きるほど経験した
僕にとって初めての東京の夏を
迎えよう
死にたくなるほどの熱気を
共有したいと思うから

この胸騒ぎを
君に伝えられないとしても
この夏が終わったあとも
君がそばにいるといいな

そう願い、空を見上げる僕を見ると
君はおかしな顔をして
小さく、微笑った


Writer's Comment

 東京に来て数ヶ月。テスト期間中に書き殴った詩。
 前半見上げた空、っていうところはある人と歩いていて素直に感じたこと。そこから始まって一つの詩を作ってみた。実話というわけではない。
 新しいところで大事にしたいものが見つかった時の喜び、とでも言えばいいのかな。これからもそうあってほしいという願いもこめて。


2008/7/24

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