ある想い出
―When I had not known the separation―


いつかまたどこでもいいから
会えるといいな
どこまでも広がる空想を
空の向こうに浮かべて

あの時あの季節に
すれちがった
手繰りよせるたび
幻になっていきそうな記憶を
思い出すたび必死に追いかけてゆく

あの時のバイバイは
その言葉よりも遥かに大きく
それでも闇にかき消えそうなほど
小さかった

まだ知らなかった春
邂逅の夏
通り過ぎた秋
消え去った冬

そうまるで
雲が流れていくように
見ていたものが
いつの間にかそこになかったんだ

今は昔と
それが口癖になるほど
想い出は遠ざかっていく
記憶という足跡は
少しずつ消えていく

それでも
夏が来るたび感じる
あの夏
駆け抜けるように聴いた曲と共に
忘れ去られていた想い出は
まだ生きてるんだ

本当にささいなささいな
あの想い出は
いつかまた時間を越えて
帰ってくるんだ

時間の止まった想い出を抱えたまま
君もまた違う場所で、速度で
大人になっていく

ただただ
あの頃には戻れないと

はるか広がる海の向こう
懐かしい、生ぬるい風を感じた

今年も、また
夏が来るんだ


2006/7/22

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