恋文


あしたは雨なのかな、と
たくさんの雲に覆われた四月の
春の始め空を見上げた目が

きれいだと思った


その目に私が映るとき
あの人は何を考えるのだろうと
そればかり考えて眠れなくなった


透明な右目にかかるまばらな前髪

震えながら手を伸ばして触れたあの日

私の中の何かが壊れそうだと思った


体温の低い冷たい手のひらが
冬の終わりのような切ない指先が

私の汚れた頬に触れた瞬間

世界が終わればいいと思った
そして私をその手で殺してほしいと


あの人の目に私がいるうちに
私の一生が終われば悔いはないんだって
そんな風に思った


本気でそう、思った


刹那的な感情だと誰かが笑った
勝手に笑っていればいい、と思った


ただ
これから先ずっと
一緒にいることができないのなら

一緒に煙草をふかすことが出来ないのなら

せめてあの人に私の世界を終わらせてほしいと
子供よりも純粋な気持ちで


そう、願っただけ
ただ、それだけ


2008/4/24

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