夜のひとかけら


夜中12時前
30分強
当然のように駅前で私を待たせて

でもさほど
焦った様子でもなく
申し訳なさそうでもなく

いつも君は笑ってやってくる
息はとても白い



私はその潔白さに憧れているから
だからいつも私は彼には言い返せない



冷たくて感覚が無くなった指先をぼやきながら
オレンジの街灯の下を並んで歩く
手は繋がない一定の距離


後50メートル先
そこの角を左に曲がる


少し傾斜のある細い道を静かに歩く
遠くに見える電波塔が私は気に入っている
どうやら君もその様子


レモンイエローの大きな家の手前を曲がると君のアパート
悴んだ指先はまだそのまんま


私と君は同じ煙草を吸っている
二人で同時に火をつける
バニラの匂いがする赤いパッケージのやつ


君は私とあまり変わらない大きさの手のひらで
でもとてもきれいな手のひらで
私の髪を触りながら言う




ただいま





その手を取って笑いながら私は言う






おかえり





その空間にある気持ちは
とても単純



同じ場所があるということ
同じ場所に帰るということ

同じ気持ちがあるということ



私と君が
同じ夜を過ごすということ


Writer's Comment

こーいう瞬間って幸せだよなぁ、という詩


2008/1/9

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