いたみ



あの日のすべてがうそだったとは
そんな風には思わないよ

だから安心して

私は私で元気にやってるよ
切りすぎてバカにされた前髪も
あの時より伸びたよ


昨日さ
二人で遊んだ公園に行ってみたんだ

茶色の毛並みの小さな猫が
いつものベンチで昼寝をしていたよ
私はその子を見て
ひどくねこっけな君の髪を思い出したんだ



あの時の君の温度がうそだなんて
そんな風には思わないよ


ただ
真実とも思えないんだ

悲しいね
君が残してくれた最後のものなのに




ねぇ
私は君の笑った顔が好きだったよ
君の笑顔が見たかったから
だからなるべく私も笑顔でいたんだ



ねぇ
もし何かの拍子に

たとえば
あの居酒屋で半分こして食べたキャラメルアイスを
偶然食べたときとかにさ



私の笑った顔を思い出してよ

できたらさ
私が君の名前を呼ぶときの声も
思い出してほしいなぁ



私は今日も君を思い出すよ
60度斜め前を歩く君を
引いてくれた右手を
薄い色の瞳を
君の笑顔と声を
君を構成するすべてを






何度も





なんども


Writer's Comment

思い出すたびに
繰り返すたびに
傷は増えていくというのに

やめられなくて
君を
消すことなんてできなかった

それだけのこと

だから今日も私は
傷まみれになる


2006/10/9

Back