ラスト・アイロニー


高層ビルの最上階のようで

ためいきすら漏れない夜でした

時に逆らってたたずんでいた私にむけて


あなたが後ろでほほえんだのがわかりました








咄嗟にそれが嘘だとわかりました


見透かすようなとおいあなたの眼に
私はたぶん
最初から丸裸にされていて

このカクテルグラスのような摩天楼が


あなたのやさしさの一部だということもわからないのに



あなたの無機質な指が
頬に触れたので


気付かないふりをするだけで精一杯でした




たとえば私が泣いても笑っても
この場所から飛び降りたとしても



あなたは笑うのだろうと
ぼんやり思いながら

あなたへの歌を口のなかで歌っていた






それは

あけないネオンと同化したあなたの首筋に



噛み付いた
あの夜と同じようでした


Writer's Comment

情景をなぞって
摩天楼があなたの眼前にひろがったなら
光栄です


2006/8/9

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