水のような


宵の空があまりにも薄く
透明な空気が纏わりついていて

むきたての蜜林檎のような
甘い香りがそこらここらに充満していて

いつもの私の部屋の
冷たい空気が
ひび割れるようでした

なんだかくすぐったくなって
『あと五分』とこっそり思って
また目を閉じていたのです


私よりも細い喉を持った彼は
薄明かりに照らされて
いっそう頬の白さが増していました

そこに触ったら壊れてしまうのではないでしょうか
低い体温は伝わってくるのだけど
小さないびきも伝わってくるのだけど




もしかしたらこの甘い匂いは
彼なのかもしれないと
浅い眠りに落ちながら私は思い


あまりにかいでしまうと
彼が消えてしまうのではという気になって
少し呼吸を短くしながら


私は眠りに落ちたのでした


Writer's Comment

春ですね


2006/5/4

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