サイレント


私の胸に宿る
優しい音だけを

救いあげて君へ差し出せたらいいのに



たとえば
メリーゴーラウンドが始まる瞬間みたいな
そんなふうな
感傷的な暖かい音を


君だけにあげたい





日なたの助手席は
眩しくてよく目をあけてられなくて

わざと顔をそむけて
君の横顔ばかり盗み見ていたよ


歯並びの悪い君の
口元から漏れる歌声は

聴いたこともないような
どこか遠い国の唄みたいだったんだ



目を細めてハンドルを握る君へ


あの日のあの唄みたいな
優しい唄を
音色を



今度は私が君へ


送るから


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