モノクロ
彼が私にくれた愛は、とてもおっきかった
うす汚れた私をきれいにあらって
やわらかい服をきせて
可愛がってくれたのは
すべて彼
その愛が
大きすぎて、あったかすぎて
いつのまにか見失って
当たり前になって
ワガママだらけになった
それでも笑ってくれてたのに
無理矢理手をほどいて、下り電車に逃げたのは
私
彼は悲しそうに笑って手を振って
あっけない終わりに私は驚いて
すぐにまた、引き返したんだけど
許してくれるって思ったんだけど
彼は何も言わないまま私を外に放り出した
暖かい腕の中で過ごしていた私には
そこは信じられないくらい冷たくて
暗くて
喉がかれる程泣いたって、届かないのに
それでも最後の彼は、鮮やかに浮かぶのに
君がくれた
ポッケの中の
くちゃくちゃにした短い手紙に
気付くのが遅すぎたのかな
にじんで読めない手紙
後悔ばかりの毎日を
消しちゃいたかったのに
それでも読み取れた最後の文字は
消えなかった文字は
「サヨナラ」