暗いところで待ち合わせ


 面白いなあ。今回も前回同様飽きさせずに読ませてくれる。12月10日からクリスマスイヴまで。目の見えない家に忍び込んだ殺人犯と盲目の女。奇妙な共同生活と裏表紙に書かれてどんなんだと気にしていたがこれは面白い。
 
 ミチルは盲目ながら昔ながらの友人のカズエの助けを得ながら日々生活していた。しかし生活と言っても自堕落だろう。この体質は乙一なのか、とも思ってしまった。何をするわけでもなく家で殆どありきたりな日常を送っていた。それはあくまでもアキヒロが来るまでだが。

 アキヒロは社会にとけ込むのが苦手で勤め先の印刷会社でもイマイチという存在。自分にそんな経験はないが、そういう人物像だと言うことは自身の描写と語りで分かる。小心者だということだ。探せばごまんと居る。それは盲目なミチルも同じではある。

 そのアキヒロが上司を駅で突き飛ばし殺人犯になってしまう。逃げ込んだのは駅の近くのミチルの家。見えないミチルはニュースで彼のことを知る。アキヒロはばれないようにひっそりと過ごすことに。

 設定からまず面白いと思ったわけだし、内容が内容。ミステリー的な要素としても最終的にそうなってしまうのか、と。自堕落なミチルと小心者のアキヒロ。似たような2人が出会ってしまうわりにはほっとさせられる場面が多いのに少々苦笑しながら一気に読んだ。殺人犯がいるというのに、なあ。

 アキヒロがミチルの生活を覗くことで得たものはなんだろう。生活そのものではないが、忍び込んでからクリスマスイヴまでの2週間はただの日々ではないことは明らかだ。いつ警察に突き出されるか。ミチルは何を考えているのか。当然ながら不安は募る。けど最終的に上手にまとめたなあ、と思うと乙一上手いじゃんと思う。

 読後の爽快感は前作同様だったかな。前作と比べると格段と本作のほうがよい。人間がよく書けてるよ。


2004/6/13

長編

初版発行
2002/4(幻冬舎文庫)

Back