きみにしか聞こえない-Calling You-                                                     


 乙一がスニーカーで書く短編達は柔らかい。ホラー性あふれる他の場所とは違った乙一が見れる。特に言えば切ないので、そういうのが好みの人にはお薦めしたい。今回の短編はいずれも非現実的なので、単純に切なさを求めるのならいいが、こじつけとかが嫌いな人には逆にお薦めしがたい。相変わらず独創性は豊かではあるけど。個人的に最初以外は好きかな。

 最初の短編「Calling You」は個人的には微妙。一応ストーリーとしてはあるが何も言えない。取りあえず切ないくらいかな。簡単に想像するとネット世界かな。ヒントはそれだと思う。最後のオチはまあ、面白かった。

 2話目の「傷」は特殊学級と言った平常でない子達を集めた小学校の1つのクラスの中のストーリー。小学校時代(と言っても何年か前だが)の純粋な感じがある。一番柔らかみがあって優しい感じ。アサトの優しさ。優しさとは言い難い優しさも、ストーリー自体が優しいからかみ合っていると思う。何が正しくて何が正しくないか、何をすればいいか。そういうことなのだろう。小学生だからまだよく分かってないのは仕方ない。上からの視線で見たが、同じような視点で見ても面白いと思う。

 3話目の「華歌」はそのままで華が歌う。ただそれだけじゃ話にならないからそこにミステリータッチを加えた感じ。その華にまつわるエピソードなんだが面白かった。これは、温かみがあるかな。その華の歌に聴き入られて自分自身の中でも何かが変わった3人。単純にいいなあ、って思う。切っ掛けがあって変われた主人公。その、華のエピソードが切ない。切ない分、華は歌うんだろうなあ。

 はぁ、やっぱり切ない。切なさでは現在刊行されているスニーカー3冊の内トップだな。個人的に。


2003/11/29

短編集(1Calling You2傷 KIZ/KIDS3華歌)

初版発行
2001/6(角川スニーカー文庫)

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