塗仏の宴 宴の始末


 シリーズ7作目。京極夏彦自身は『支度』とは別のもの。と言うらしいが、確かに不可能ではないがそれにしては「支度」の終わり方が不自然すぎる。やはり両方とも読むのがいいだろう。ただ自分の場合は間が空いてしまったが。
 
 下巻に入ってもすぐには本筋にはならない。また脱線して伏線が出てくるわけだ。まず、「支度」にはいなかった村上貫一という刑事。家庭崩壊中の中妻は怪しげな新興宗教に。加わって木場修太郎を捜している青木文蔵の視点と編集者である鳥口守彦の視点で基本的に展開される。苦労したのは登場人物が多いことだ。スローペースながら面白いので整理しながら読み進めるのに自分は苦労してしまった。読み終わってみるとそれもそのはずだと思う。だが、それだけの人を用意しての最後かというとどうも言えない。結末自体はミステリ的で好きである。よく考えてみれば、と何度思わされたことか。
 
 スローペースであり、なかなか本筋にはつながらない。伏線でもあるからはずせない位置ではあるが。それでも飽きなかったのは京極夏彦の巧さなのだろうか。会話で人を魅了する力はあると再実感。村人五十人殺しの謎、成仙道なる怪しげな集団や、寿命が延びるとか言うみちの教え修身会、韓流気道会という武道集団。京極堂の「世の中には不思議なことなど何もないのだよ」を噛みしめつつ、じっくり味わって欲しい。長いが、読む甲斐はあると思う。


2003/12/5

長編

1998/9(講談社ノベルス)
2003/10(講談社文庫)
2006/5[分冊文庫版](講談社文庫 上・中・下)

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