OUT


 桐野夏生はこの「OUT」を読まないと語れないと知人が言っていただけあって読んでみるとそれなりの価値はある。何にしても奇抜な発想と構成力はなかなか。
 
 弁当工場のパート主婦弥生は、日々の鬱憤からとんだはずみで夫を殺してしまう。呆然と立ちつくした弥生は、同じ弁当工場で働く雅子に話し、死体処理をすることになる。同じく口実をつけながら2人のパート主婦が死体処理に加わった。

 主人公の香取雅子、吾妻ヨシエ、城之内邦子、山本弥生の4人の主婦の日常からのアウト。それなりにテンポも安定しているのだが、読み始めるとページをめくる手が止まらない。昨日から読み始め、そんなこんなで早くも上巻を読了。死体処理というのはそう簡単にはいかない。実際そうなのだが、展開の運び方が面白い。4人が分裂もし始め、警察には見つかり。
 
 前半警察の手を追い払った主婦4人。しかし、ミリオン消費者センターの十文字という男が事件に疑問を抱き、主婦のうちの一人の城之内邦子に歩み寄る。そして切り出したのは、「仕事」としての死体処理だった。一方佐竹も、真相を探り始める。上巻もだが、結果的に主人公の香取雅子を中心とした心理サスペンスに仕上がっている。

 追う佐竹と得たいの知れないなにかに追われる雅子たち。それは十文字だちも同じだった。あくまでもこれはミステリーとは呼べないだろう。分類は前にも書いたとおり心理サスペンス。色んな視点から繰り出されるストーリーにおもしろみがあり、心理描写もなかなか巧い。よってストーリーは更に深みを増してゆく。

 最初はしっかりとした隠蔽工作という意図が不確かに存在していた。しかし今度は違う。あくまでも金を受け取って、である。そして思わぬ人物を解体したことから事態は急速な展開を迎えていく。最終的には佐竹の復讐か、雅子の意地か、になってくる訳だ。その2人の目的はなにかと壮絶なものがある。ただなんとなくなどという曖昧なものではなく、やらなければならない、と2人は思っている。思いっきり犯罪とか関係ない世界。そして結末へ。いくら何でも強引じゃないか、と思ってみるのだが。やや、淋しい気配もしたが、流石に犯罪者の2人に感情移入などはできなかった。そこがこの小説の惜しいところ。

 あくまでもこれはエンターテインメントである。と俺は思う。ミステリーとは言い難く、分野はやはり心理サスペンスだろう。直木賞最終候補まで行きつつとれなかったのは、佐竹がでてからが駄目だそうだ。しかし、佐竹が居なければ発展性がなかったのではないか、と。終わりが微妙とはいえ、本書を一読することをお薦めする。


2004/2/13

長編

1997/7(講談社)
2002/6(講談社文庫 上・下)

Back